茶室のある数奇屋の家
「本物の和風建築を。茶室も設けて。」と言う、願ってもいないご依頼でした。
「本物の和風」とは、私なりに「日本人の感性に適した建築」と考えています。
決して媚を売るようなデザインではなく、控えめでいて存在感もあり、日本の風土、自然に溶け込む、優美さ、優雅さ、伝統的な規則性等と、自身が最も好むところです。
さらには内腰掛まで設けて茶室を設けるとなると、めったにあるお話でもなく、また、誰にでもできるものではないと思っています。古典から学ぶ秩序、美しさと、現代の住宅としての機能の融合がポイントでありました。
なお、工事契約時の金額はあくまでも予算であり、着工後実際に使う材料は、一つ一つ選定しながら造っていくことで、最終的に工事金額が決まるという(上限金額の目安はありましたが)、今ではほとんどありえないような仕事の進め方ができる機会をいただいたことは、設計者冥利につきるものでした。